WoWS MM Analyserで使用している勝敗予想モデルについて説明します.
【関連】WoWS MM Analyser
WoWSのマッチング履歴を保存し,統計データを分析できるツールです.今回,説明する予想モデルを使用しています.
【関連】WoWS Stats Analyser
戦績データを詳細に可視化し,「サーバー平均」や「他のプレイヤー」との差分を分析するためのツールです.
【関連】WoWS 艦艇マップ ~ t-SNEによる艦艇別勝利要因の可視化とプレイスタイル分析 ~
アジアサーバーの58000人のプレイヤーの艦艇別スタッツを利用して,勝利要因別に類似する艦艇を探し,地図のように可視化しています.
アジアサーバーのランダム戦の戦闘データ(800件~)を使用し,機械学習を行っています. ランダム戦以外のゲームモードでも予想は表示されますが,ランダム戦のルールで考えた時の予想勝率です.
使用艦のスタッツ,艦艇別のスタッツから全プレイヤーの実力を推定し,チームの平均勝率・ダメージ・経験値や分艦隊・駆逐艦の実力差などを使用して予想勝率を算出しています.
戦績非公開のアカウントについてはサーバー平均から実力を推定しています.
以下は予想勝率ごとの実績データ (検証試行回数 N=85,800) モデルの安定性を測るため,学習と評価を100回繰り返し実行した累積結果です. AIが算出した「予想勝率」と,その時の「実際の勝率」がおおむね比例しており,予測スコアが確率として信頼できることを示しています.
※ 上記は収集データを用いた100回の反復検証(延べ N=85,800)による結果です.
あくまで学習データ内での妥当性を示すものであり,あらゆる環境下での動作を保証するものではありません.
予想モデルの設計上,以下のような場合に予想が外れやすくなっています. 現バージョンではデータ不足のため考慮できていませんが,データ数が増え次第,改善を検討しています.
煙幕・ソナー・レーダーを持っているかなどは考慮できていません. 煙幕介護など火力を底上げするプレイやレーダー艦が重要なマップでのレーダーの重要性は考慮せず,予想勝率が算出されます.
マッチング画面から得られるプレーヤー情報のみから算出されているため,予想は初期配置の不確実性を含みます. 配置の噛み合わせが極端に悪い場合などは予想勝率よりも実際には難しい場合があります.
空母の実力差は間接的な指標でしか考慮できていません. 空母の実力差が極端に大きいような場合は予想勝率よりも難しい試合になる可能性があります.
現バージョンはダメージを重視するモデルなため,スポット・占領・潜在ダメージを意識して控えめなダメージで勝っている場合は,予想が厳しめに出る可能性があります.
データ数不足のため,軍拡競争の予想が苦手です. 最もデータ数の多い3拠点が得意で,2・4拠点は普通です. これに関してはデータが増え次第,専用の予想モデルに分割します.
将来的には,マップを考慮した予想モデルや艦艇の特徴を考慮した予想モデルなどを作ることによってマップの特性やゲームの構造をより深く理解することを目的としていますが,現状の簡単なモデルでも以下のように活用できます.
試合前に予想勝率を元に戦略を立てることはできませんが,予想勝率と実際の勝率の乖離を見ることで自分のプレイスタイルの分析が可能です.
AIの実力評価以上の仕事をしています.
AIは主にダメージやキルを重視しますが,この場合はスタッツに残りづらい的確な視界提供・エリアへの関与・ヘイト管理でチームを勝たせている可能性があります.
このギャップが大きいほど,ダメージやキルなどの目立つ数字以上の実力を持っている可能性があります.
※ 初心者時代に開発したツリーを研究局でやり直すなど,スタッツと現在の腕が乖離している場合も実際の勝率の方が高くなります.
勝敗予想モデルは,APIから取得できる「ダメージ総量」は評価できますが,「誰に、いつ与えたダメージか」までは判別できません.
そのため,イギリス戦艦のような「回復されやすい火災ダメージ(非効率なダメージ)」も,Slavaなどが出す「バイタルパートへの決定打(効果的なダメージ)」も,ダメージ量さえ同じならAIは同等の評価を下してしまいます.
この仕様上,ダメージが出やすい艦艇(HEスパム艦など)に乗っている場合は,実際の戦況よりも予想勝率が常に高めに出る傾向があります.